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節約社長掲載記事

カプコンとバンナムが特許権の共有~2社を待ち受ける大きなリスク

カプコンがバンダイナムコとネットを通じて、テレビゲームで対戦するシステムに関して特許を共有することを発表しました。一見すると画期的な「シェアの時代」にふさわしいニュースに見えますが、特許権の共有は数十年に渡り両者の信頼関係が守られねば、ライセンスなどの一定の行為ができない「制約付き特許」に格下げされるリスクの元凶ともなります。

カプコンとバンダイナムコが特許権の共有へ

先日、特許の世界では珍しい「ライバル同士2社での特許権の共有」というニュースが流れました。

ライバル同士とは、カプコンとバンダイナムコの2社のことです。詳細は以下の通りです。

引用:カプコン・バンナム、オンライン対戦で特許共有

カプコンは19日、バンダイナムコエンターテインメントとネットを通じてテレビゲームで対戦するシステムに関して特許を共有すると発表した。

ゲームソフトの開発中にお互いの特許への抵触を防ぐためにシステムを変更することが減り、開発のコストや期間を短縮できる。

技術の共有で利用者の使いやすさも追求できる。

カプコンは格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズなどで、ネット経由の対戦を有効活用して販売を伸ばそうとしている。

ゲームソフトの販売で競合する企業同士での特許共有は珍しいという。

一見すると「シェアの時代」にふさわしい画期的なニュースに見えるのですが、特許権の共有には大きなリスクも存在します。

特許権の共有は信頼関係が壊れると「制約付き特許」に格下げされてしまう

特許権の共有とは、1つの特許権を2社以上で所有することをいい、いわゆる“共有名義”といわれる所有の形態です。

特許を共有名義にした場合、一定の行為について「相手の同意を得なければできない」という制約が生じます。

例えば、ある特許をA社とB社の共有名義にした場合、A社が自由に他社にライセンスを設定できるとすると、ライセンスを受けた他社がその特許を使った製品を大量に販売することで、B社の売上げが極端に減少してしまうことがあります。

法律は、A社とB社に信頼関係があることを前提に作られています。

A社とB社の仲がよければ、相手の同意を得ることに問題はないので、通常の特許と同じように活用することができますが、ひとたび信頼関係にヒビが入った場合は、ライセンスなどの一定の行為ができない「制約付き特許」に格下げされます。

私は、決してすべての場合において信頼関係を疑っているわけではありません。

しかし、ビジネスにおいて信頼関係を維持するのは、容易ではなく、むしろ大変な努力を要するという現実があります。

例えば、経済関係一つをとっても、同じ特許を使って製品を販売していたにもかかわらず、一方だけ儲かるような状況ができれば、片方は快く思わないこともあります。

このような時は、どちらが悪いわけでもないのに信頼関係に陰りが出てくる可能性があり、信頼関係は一度ヒビが入ると元に戻りにくいという性質もあるのです。

SNSの「共有」(シェア)と特許の「共有」(シェア)概念は大きく異なる

特許は、最大20年の期間にわたって長く活用するものです。

その長い間にたった一度でも信頼関係が揺らぐと、共有名義の特許は途端に“毒薬”と化します。

ビジネスにおいて、このリスクはいかほどでしょうか。

フェイスブックなどのSNSで「共有」(シェア)というと、有益な情報をみんなで分かち合おうというプラスの意味合いがありますが、法律上の「共有」は、そういったプラスの意味合いはなく「制約」という意味合いとして認識する必要があります。

単独名義にできないかをぎりぎりまで検討・調整し、現在のビジネスの関係上どうしても難しいという結論になった場合にのみ共有名義にする、というプロセスを踏みたいものです。

今回のカプコンとバンダイナムコの2社が特許を共有した背景には、技術で差別化しにくいレッドオーシャンと化したゲーム市場において、これらの考慮が散々重ねられたうえでの決断があると拝察します。



※ 掲載サイト:節約社長
※ 掲載日時:2017年6月28日
※ 引用記事:カプコンとバンナムが特許権の共有~2社を待ち受ける大きなリスク
※ 著作文責:弁理士 渡部 仁

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