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節約社長掲載記事

ベッカム夫妻が子供の氏名を商標登録。日本でも同じことは可能?メリットはある?

元サッカー選手で、現在はモデルや実業家としても活躍するデビッド・ベッカムが、自分の子供達の名前を商標登録したことが話題となっています。果たして、日本でも同じように子供の名前を商標登録することは可能なのでしょうか?問題点や制限について触れながら、子供の氏名を商標登録するメリットの有り無しまで専門家が考察します。

ベッカム夫妻が子供の名前を商標登録。日本でも同じことは可能か?

「サッカー元イングランド代表のベッカム夫妻が子供の名前を商標登録」との報道がありました。

引用:ヴィクトリア・ベッカム、ハーパー・ベッカムを商標登録

デザイナーとして大活躍中のヴィクトリア・ベッカム。愛娘ハーパー・セブン・ベッカムの名前を商標登録していたことが明らかになった。

これで一家は自分たちの名前を使って他の人がビジネスを行うのを完全に阻止することができるわけだけれど、専門家は「5歳という幼い子どもの名前が登録されるのは前例がない」とコメントしている。商標登録した名前をどう使うのかは明らかにされていないけれど、子ども服やおもちゃを販売するときに「ハーパー・ベッカム」というブランドにするのでは? という噂も。

この報道において、「5歳という幼い子どもの名前が登録されるのは前例がない」と専門家がコメントしています。

では、日本では、ベッカム夫妻のように子供の名前について、商標登録を取得することはできるのでしょうか。

また、子供の名前を商標登録することに果たしてメリットはあるのでしょうか。

以下、考察してみましょう。

同姓同名の他人がいる場合、原則的に子供の氏名は商標登録できない。ただし例外も

まず、氏名を商標登録できるか否かについて原則論からお話しましょう。

我が国の商標制度では、同姓同名の他人が1人でもいる場合は、子供の氏名(フルネーム)については商標登録を受けることができません。

これは、他人の氏名が勝手に商標登録されてしまうことで、その人の人格的利益を害するから、という理由です。

ただし、同姓同名の他人全員が商標登録を取得することに承諾すれば、商標登録を取得することができます。

分かりやすくいうと、自分の子供が「山田太郎」という氏名で、このほかに「山田太郎」という人が全国に99人いたとすれば、自分の子供も含め100人の山田太郎さんから承諾をもらえればOKということになります。

この条件をクリアした場合は、日本でも子供の名前を商標登録することが「一応」可能です。

先に商標登録されていても自分の氏名は使える

ただし、子供の名前について商標登録ができたとしても、いくつかの制限が加わることを覚えておく必要があるでしょう。

我が国の商標制度には、商標登録の効力を制限する規定が設けられています。

その名称を使うことに商標登録の効力を及ぼすのは“あんまりである”といった場合に、そこだけ商標権に穴を開けるようになっているのです。

その一つが自分の氏名です。

自分の氏名を使って商売することができなくなるのはあんまりだからです。

商品を作り、販売しました。

このとき、商品に何か不具合があったときに購入者が問い合わせられるように商品に販売者の氏名を表示したいのですが、自分の氏名を表示することが商標登録によって制限されてしまったらどうでしょうか。

消費者は問い合わせができず困ります。販売者も責任表示ができず困りますね。

ですから、商売を行う上で自分の氏名だけは最小限表示できるように、仮に自分と同じ氏名について商標登録があっても、これに穴を空け使うことができるのです。

商標登録した子供の氏名について親は別名の他者が利用することを制限できる

でも、ちょっと待ってください。

先ほど同姓同名の他人の承諾がないと商標登録が取得できないと説明したのに、自分と同じ氏名について商標登録が成立しているのはちょっと変だと思いませんか。

承諾しておきながら、いざ自分の氏名を使おうとする時に困ったという状況でしょうか。

いえいえ、違います。

山田太郎という氏名の人が自分しかいなかったために、山田太郎さんは、自分の氏名「山田太郎」について商標登録を取得することができました。

しかしその後、日本のどこかで生まれた子供に山田太郎という名前を付けた場合、その子供が大人になり自分の氏名を使って商売をするときに困ってしまうという状況を想定しています。

商標権に穴を空けてまで使えるのは、あくまで自分の氏名です。

ですから、商標登録された氏名を別名の他人が使用する場合は、使ってはならないと、商標登録によって制限することができます。

例えば、氏名「山田太郎」について商標登録を取得している場合、他人である田中次郎さんが「山田太郎」を商品に使用することは認められないということです。

ただし他人に子供の名前を使わせない為には子供の名前で商売する必要がある

しかし、権利行使には一定の制限があります。

例えば、子供の氏名「山田太郎」について商標登録を取得したとして、他人が勝手に子供の氏名を使用していたとします。

使ってはならないと、商標登録によって制限したいと思います。

しかしこの流れは、なかなかうまくいかない問題をはらんでいます。

我が国の商標制度は、”商標を使用すること”が前提となっています。

これは、子供の氏名について商標登録を取得した場合、親が子供の氏名を商品に使用して商売を行わなければならない、ということをいっています。

商標を使用することが前提となっているので、使っていない商標について権利行使することは大幅に制限されます。

使うなということはいえても、損害賠償は認められません。

子供の氏名を使った商売を3年やらねば商標取り消しも

さらに、使っていない商標は、取り消されてしまうリスクがあります。

我が国の商標制度では、商標を3年間使用していない場合は、誰でも商標登録を取り消すことを申し立てることができます。

使うなといって商標権を行使しても、商標を使っていなければカウンターで商標登録が取り消されて終わりです。

つまり、子供の氏名について商標登録を取得してメリットがあるのは、親が子供の氏名を商品に使用して商売を行う場合に限られることになります。

商標制度が本当に守りたいのは名称ではなくブランド

ここまでを見て、この話に何か違和感を覚える方もいらっしゃることでしょう。

ここで終わっては、商標制度って変な人が作った制度なんだね、って話になってしまいますので、ベッカムのように子供の名前を守りたい親の気持ちと、商標制度の目的にはズレがあることをまとめとしてお話しします。

皆さんの多くは、商標登録って名称を保護する制度だと思っているかもしれません。

確かにそれはそれで間違いではないのですが、商標制度が本当に守りたいのは実はブランドです。

企業がいい商品を販売すればお客様からいい評判を受け、企業の信用が増えていきます。信用の高い企業の商品は、よく売れるようになります。

この信用がブランドです。

信用のあるなしで商品の売れ行きが大きく変わるので、信用は正に企業の財産です。

信用はかたちとして捉えることはできませんが、企業や商品の名称を通じてお客様に記憶されます。

かたちのない信用そのものを保護することは難しいのですが、信用と紐付いている名称だったらかたちとして捉えることができます。

そこで、商標登録は、信用と紐付いている名称を保護しようというのです。

ですから、信用と紐付いている名称については手厚い保護を与えますが、信用と紐付いていない名称については保護する意味があまりないと考えています。

つまり、名称の背景にある信用(=ブランド)によって名称を保護するかどうかを区別しているのです。

したがって、名称を使って商品を販売していない場合は、お客様から信用が得られておらず、”信用に紐付いた名称”とはいえないので、上記のお話のように、権利行使が制限されたり取り消されたりしてしまうのです。

親は、子供の氏名を守りたいという気持ちがあるのに対し、商標制度は、ブランドを守りたいということなので、根幹の思いの点で大きなズレが生じています。

商標登録は、名称を守る制度であることに間違いありませんが、ブランドとは無縁の子供の氏名まで保護する制度ではありません。

仮に子供の氏名について商標登録できたとしても、過大な期待はせず、子供の氏名について商標登録が取得できて記念になった程度に止めておくのがよいでしょう。



※ 掲載サイト:節約社長
※ 掲載日時:2017年4月17日
※ 引用記事:ベッカム夫妻が子供の氏名を商標登録。日本でも同じことは可能?メリットはある?
※ 著作文責:弁理士 渡部 仁

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